日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
自覚症状のある肺結核患者の受診の遅れとその特徴
加藤 由希子有本 梓島村 珠枝村嶋 幸代
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2012 年 59 巻 4 号 p. 251-258

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抄録
目的 近年,結核患者数の減少に伴い,患者の早期発見が困難となることが懸念されている。発見の遅れは,個人の重症化のみならず周囲への感染拡大につながるため,対象に合わせた介入が必要である。発見の遅れは,受診の遅れと診断の遅れに大別されるが,発見の遅れには診断の遅れよりも受診の遅れが強く影響していることが明らかになっており,受診の遅れに関する対策は重要である。そこで本研究では,肺結核患者の受診の遅れに関連する要因を症状の種類や症状に対する認識,保健行動の優先性,受診以外の対処行動等の観点から明らかにする。
方法 平成22年 1 月 1 日から11月30日までに調査協力保健所17か所に新規登録された20歳以上の肺結核患者の内,自覚症状を有し,医療機関受診によって発見された者を対象に構造化面接調査を実施した。面接では患者の人口学的特性に加え,症状の種類や症状出現時の対処行動,結核に関する認識,経験について尋ねた。
結果 回収60人分の内,外国人や無症状,肺外結核,再治療者のいずれかに該当した 7 人を除く53人分を分析対象とした。対象者の平均年齢は60.2±19.2(mean±SD)歳で,受診の遅れがみられた者は22人(41.5%)であった。「痰」,「血痰」症状を有する者,「喀痰塗沫陽性」者,「保健行動の優先性が低い」者,「かかりつけ医がいない」者,「人に相談しない」者,「市販薬を服用した」,「病院嫌い」の者が有意に遅れやすかった。
結論 受診が遅れる者は症状が悪化していても,受診せず市販薬の服用をする,周囲の人や医療者への相談をしない,等の特徴があきらかになった。今後は,結核の症状に関する情報や早期受診のメリット,相談相手やかかりつけ医を持つことの必要性を伝えていく必要があることが示された。
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© 2012 日本公衆衛生学会
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