日本公衆衛生雑誌
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研究ノート
40, 50歳代女性の塩分表示に関する知識・態度と食生活との関連
田中 惠子池田 順子森 美奈子坂本 裕子
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2013 年 60 巻 2 号 p. 87-97

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抄録

目的 40, 50歳代女性を対象に栄養成分表示(以下成分表示と略す)のナトリウム量や食塩相当量(以下併せて塩分表示と記す)を参考にしている者の特徴を明らかにして,減塩の推進につながる塩分表示の普及と制度のあり方を検討するための基礎的な知見を得ることを目的とした。
方法 平成23年 5 月に関西在住の短期大学自宅生の保護者に調査を依頼して,有効回答者347人を解析対象者とした。主な調査項目は,塩分表示に関わる知識と態度および塩分摂取に関わる食生活の状況であった。塩分表示の参考状況から対象者を 3 つに区分して,各質問項目との関連性を検討した。
結果 1)ナトリウム(以下 Na と記す)量か食塩相当量のいずれか一方以上をいつも,あるいは時々参考にしている割合は18.7%であり,どちらもほとんど参考にしていない割合は61.4%であった。2)Na 量と食塩相当量の関係を理解している者は極めて少なく,食塩相当量が Na 量より多いことは知っている割合は4.6%に留まった。また,女性の一日食塩目標量を 6~9 g の範囲と回答した者の割合も8.4%と低かった。3)本人および同居家族に高血圧症の指摘や治療経験が無い者に,塩分表示を参考にしている割合が高かった。また,塩分の取りすぎに気を配り,食卓の調味料をあまりかけないなど,塩分摂取に関わる好ましい食習慣を有する者で塩分表示を参考にしているという関連がみられた。一方,塩分表示を参考にしている者は,干物や煮物,汁物などの摂取頻度が高く,塩分摂取状況を総合的に評価する指標としての塩分スコアは塩分表示の参考のしかたによる差は認められなかった。
結論 塩分に関わる表示の情報は,十分に参考にされていない結果が示された。塩分表示のあり方として,食塩相当量の併記の必要性が示され,併せて,塩分表示の数値情報を実際の減塩につなげていくための教育の必要性が改めて示唆された。

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© 2013 日本公衆衛生学会
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