日本公衆衛生雑誌
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原著
高齢者を対象とした日本語版HLS-Q12に関する尺度評価
児玉 悠希芳賀 邦子時田 礼子大山 一志岸田 るみ金子 仁子
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2023 年 70 巻 4 号 p. 252-260

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抄録

目的 本研究ではヘルスリテラシー評価尺度であるHLS-Q12を高齢者に対し使用した場合の内的一貫性と因子妥当性評価を行うことを研究の目的とした。

方法 2022年1~2月をデータ収集期間とし,地域で生活を営む高齢者を対象に質問紙を用いた郵送調査を行った。日本語版HLS-Q12によって高齢者のヘルスリテラシーに関するデータを取得し,尺度の内的一貫性と因子妥当性を評価した。分析方法としては,Cronbachの α 係数によって内的一貫性を評価し,確証的因子分析によって因子妥当性の評価を行った。また,ラッシュモデルを用いて各質問項目の詳細な分析を行った。

結果 3,572人に対し質問紙を配布し,1,082人の高齢者より質問紙の返送があった。そのうちHLS-Q12の質問項目に欠損があった者を除外し,984人のデータで分析を行った。Cronbachの α 係数では0.8以上を示し内的一貫性に問題はなかった。確証的因子分析では,CFI=0.933,AGFI=0.876,RMSEA=0.092であり,いずれの指標も一定の評価水準を満たしていた。しかし,RMSEAの値に関しては複数ある適合基準の一つからの逸脱が確認され,尺度によって算出される推定値と真値との誤差が比較的大きいことが示唆された。また,ラッシュモデルによる各質問項目の分析では,すべての質問項目でInfit MSQの基準を満たしており,概ね適合のよい質問構成となっていた。

結論 高齢者を対象としたHLS-Q12の尺度評価として,一定の水準で信頼性と妥当性が認められる尺度であることが確認された。しかし,RMSEAの値が大きく,尺度によって算出される推定値と真値との誤差においては比較的大きいことが示唆された。

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