2024 年 71 巻 7 号 p. 337-348
目的 本研究は,介護老人保健施設で働く高年齢介護助手の個人特性や就労状況別の業務内容の特徴の明確化と業務内容と介護助手に就労することによって感じるメリットとの関連性の検討を目的とした。
方法 2020年11月に全国老人保健施設協会に所属の2,571施設に郵送調査を行った。高年齢介護助手の定義は60歳以上等で,施設ごとに回答者は最大5人とし,599施設,1,606人から回答を得た。調査項目は,個人特性や就労状況の他,業務内容として13項目を設定し,「利用者の送迎・送迎補助」等の2項目を『利用者の移動補助』,「清掃・備品管理」等の5項目を『環境整備』,「食事の配膳・下膳」等の3項目を『食事関連補助』,「利用者の見守り・傾聴」等の3項目を『利用者の見守り・声かけ』と4つに分類した。介護助手の就労によって感じるメリットは,「社会貢献」「社会とのつながり」「生きがい」「収入」「介護からの学び」「健康維持・増進」「時間活用」の7つを設定し,2件法で回答を得た。
結果 対象は女性が66.7%,平均年齢は68.4歳であった。利用者の移動補助の業務は男性や前期高齢者,週5日以上の勤務者の割合が高かった。利用者の見守り・声かけの業務は性別や年齢,勤務日数と関連はなく,流動的な勤務パターンの者の方が従事割合が高かった。就労により感じるメリットでは,利用者の移動補助に従事している者は社会とのつながり,介護からの学びのメリットと関連があった。環境整備への従事は,収入,健康維持・増進,時間の有効活用と,食事関連補助への従事は,介護からの学びとの関連し,利用者の見守り・声かけへの従事は,社会貢献,社会とのつながり,生きがい,介護からの学びのメリットと関連した。介護助手継続年数別にみると継続年数が短い者ではなく長い者で,先述と同じ傾向が多くみられたが,食事関連補助,利用者の見守り・声かけへの従事では継続年数が短い者で収入のメリットと負の関連がみられた。
結論 高年齢介護助手は個人特性や就労状況により,従事する業務内容に特徴がみられた。就労により感じるメリットは,利用者との接触が多い業務は社会貢献やつながり,生きがいや介護からの学びというメリットと関連し,接触の少ない業務内容は収入や時間の有効活用と関連があり,介護助手の継続年数による違いもみられることが明らかとなった。