2018 年 61 巻 2 号 p. 80-86
CO選択メタン化反応のためのNi/TiO2触媒の加速劣化試験を行い,この触媒の劣化要因を検討した。触媒の加速劣化処理は,反応ガス雰囲気下,通常の使用温度およびそれより高い温度(200,250,300 ℃)で24時間行った。加速劣化試験後に,COメタン化反応の選択性が低下した。これは,副反応である逆シフト反応を抑制できなくなったことに起因する。粉末X線回折測定から,Ni/TiO2触媒中のTiO2の構造は反応試験前後で変化しないことが明らかとなった。X線吸収分光法から,Ni/TiO2触媒中のNi種が水素によって還元され,金属Niになることが確認された。また,その後に続けて加速劣化試験を行っても,このNi種は金属Niとして存在し,変化しないことが分かった。特筆したい点は,加速劣化試験後のNi/TiO2触媒表面に存在するCl種の数が加速劣化試験前のものに比べ大幅に少なくなったことである。したがって,CO選択メタン化反応中にNi/TiO2触媒表面に存在するCl種が消失することが明らかとなり,このことがNi/TiO2触媒の劣化要因であると示唆される。