「新しい社会運動」として1960年代末に注目された「エコロジー運動」は,産業社会の「豊かさ」の源泉であった石油・原子力技術文明を,生態系の原理に背馳するものとして根源的に批判した。しかしその後の「制度化・政策化」の過程においては,より具体的な規制政策の策定に向けて,ユートピア的原則論的な言説から実質的な政治的影響力行使に向けた妥協形成へのシフトという環境運動の性格変容があった。さらに,1990年代の環境マネジメント化,2000年代以降の経済のグローバル化の中で,環境運動はその存在理由を問われる状況になった。そうした状況の中で,環境運動を再度「脱制度化」させる契機と考えられるのが,「環境正義」運動の世界的な拡大・拡張である。アメリカにおける「環境人種差別撤廃」運動として開始された当初の「環境正義」運動は,グローバル化した新自由主義経済を背景とした世界的な環境負荷の弱者への転嫁の拡大等の問題を俎上に載せる「新しい環境正義」運動へと拡大・拡張しつつあるといえる。