抄録
蛋白質価の測定方法の改善に関する研究の第一段階として, 標準のカゼイン-アミノ酸混合物の最適な組成を求める実験を3回, カゼイン-アミノ酸混合物の代謝エネルギーを測定する実験を1回行なった。
飼料中の蛋白質含量が18%の条件では, カゼイン90.9%, L-アルギニン塩酸塩5.4%, DL-メチオニン1.7%およびグリシン2%の混合物が, 標準蛋白質として適しているといえた。グリシンやL-トリプトファンをさらに添加してもヒナの成長には影響が認められなかった。また, DL-メチオニンをさらに添加したり, L-グルタミン酸を加えて必須アミノ酸と可欠アミノ酸の比を下げると, ヒナの成長が阻害される。
大豆粕89.6%, 魚粉10%およびDL-メチオニン0.4%からなる蛋白質混合物で, 従来本研究室において標準蛋白質として使用していたものは, カゼイン-アミノ酸混合物とほぼ同じ蛋白質価を持っていた。蛋白質混合物のほうが, カゼイン-アミノ酸混合物よりはるかに安いので, 前者の蛋白質価を正確に測定した上で, 標準蛋白質として使用できる。
この蛋白質混合物は, 基礎飼料の単一な蛋白質源として利用できる。
カゼイン-アミノ酸混合物と蛋白質混合物の代謝エネルギーは, それぞれ3.90と2.31kcal/gであった。