日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ニホンウズラにおけるエステラーゼD•アイソザイムの変異
渡辺 誠喜芝田 猛河原 孝忠
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1977 年 14 巻 2 号 p. 66-70

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抄録
家禽化系統 (DN, DS, DM) および野生1系統の総計650羽のウズラを供試し, でん粉ゲル電気泳動法により, 赤血球を中心として, その他諸臓器のエステラーゼD•アイソザイムについて調査研究した。その結果3つの表現型FF型, SS型およびFS型の存在が認められた。赤血球と諸臓器のエステラーゼD•アイソザイムを比較した結果, その活性の強弱には相違があったが, 同一個体では全く同じ表現型を示すことならびに阻害実験の結果から, 同一遺伝子が関与しており, 交配実験の結果, これら活性帯は1対の常染色体性共優性対立遺伝子ES-DFおよびES-DSによって支配されているものと推察された。
遺伝子頻度は, 野生系ではES-DFが0.521, ES-DSが0.479でその頻度は等しかった。しかし, 家禽化3系統ではES-DFの頻度がDNで0.264, DSで0.275およびDMで0.568であり, 系統によってその頻度が異なり, ES-DFES-DSの頻度を比較するとDNおよびDS2系統ではES-DFが有意に低く, 逆にDM系統では有意に高かった。これら系統の由来および集団の大きさを考慮すると, これら遺伝子頻度の相違は偶然による遺伝的浮動に基づくものと考察された。遺伝子型と生産能力を比較したが, 関係は認められなかった。
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