日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ヒナの成長, 飼料摂取量およびエネルギーと窒素の利用に及ぼす軽度のメチオニン過剰飼料給与の影響
上田 博史横田 浩臣
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 14 巻 5 号 p. 236-239

詳細
抄録
メチオニン過剰飼料がヒナのエネルギーおよび窒素の利用性を低下させることは前報1)で報告したが, 過剰の程度は増体量の減少率が対照の65%という極端なものであった。そこで本実験では軽度のメチオニン過剰飼料を用いて, ヒナの増体量, 飼料摂取量および飼料のエネルギーと窒素の利用に及ぼす影響を調べた。供試ヒナは体重の均一な8日齢の白レグ雄を用い, 1群2羽の12群に分け, それぞれ6群ずつに対照飼料とメチオニン過剰飼料を給与して12日間飼育した。対照飼料の組成は飼料1kg当り, 大豆蛋白質257.8g, コーンスターチ406.4g, グルコース200g, コーンオイル40g, セルロース30g, ビタミン•ミネラル混合物58.3g, L-メチオニン5.0gおよびグリシン2.5gとした。またメチオニン過剰飼料は対照飼料に1.0%のL-メチオニンをコーンスターチと置きかえて添加した。飼育試験終了後, ヒナは屠体分析に供した。
ヒナの増体重および飼料摂取量はメチオニン過剰飼料の給与によって有意に減少し, 減少率はそれぞれ対照区の12%および9%であった。しかし飼料効率には差は認められなかった。屠体成分は脂肪含量に減少の傾向がみられたが有意な差ではなかった。また蛋白質および水分含量にも差はなかった。しかしメチオニン過剰飼料を摂取したヒナの脂肪, 蛋白質およびエネルギーの蓄積量は増体重の差を反映して有意に低下した。飼料エネルギーの代謝率は両区において差はなかったが, 代謝エネルギーの利用性はメチオニン過剰飼料を摂取したヒナでは有意に減少した。しかし飼料の窒素の利用性はメチオニン過剰で影響を受けなかった。
軽度のメチオニン過剰飼料の給与により, ヒナの増体重および飼料摂取量の減少の程度は前報1)と比較して軽減され, また飼料のエネルギーおよび窒素の利用性の低下も緩和された。
著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top