抄録
マツコウ鯨油を鹸化してえられる脂肪酸は, 従来石鹸工業において利用されていたが, これを飼料とすることを考え, その飼料価値を検討した。検討の方法は, ヒナの発育を利用する生物定量法を主とし, あわせて真の消化率を測定した。
マツコウ鯨油•脂肪酸の利用可能エネルギーはTDNで示して173% (95%信頼巾±15%) であって, これはタローの利用可能エネルギー含量にほぼ等しい。カルシウム塩は103%であり, ナトリウム塩は添加量が2.5%であるにもかかわらずヒナの発育は非常に劣っていた。
マツコウ鯨油•脂肪酸の消化率は92~95%で非常によく, 大豆油の97%と大差はなかった。しかし, 利用可能エネルギーは, 大豆油に劣つており, 脂肪の蓄積量にも大差がないので, マツコウ鯨油•脂肪酸のエネルギーは1部はヒナによって利用されず熱として放散したものと考えられる。
カルシウム塩は, 1部ナトリウム塩を含む状態であっても, 飼料中2%程度配合する場合にはタローと同程度の飼料価値をもつものと考えてよいであろう。