抄録
小麦およびフスマについて水浸処理を行ない,リン形態の変化およびリンの利用率に及ぼす影響について検討した。水浸処理は次のように行なった。すなわち,粉砕した小麦またはフスマに等重量の水を加えてよく撹拌して室温に6時間(小麦のみ)または20時間保持したのち,乾燥,粉砕,風乾した。このようにして調製した処理小麦および処理フスマについてリンの形態変化を明らかにするとともに,処理小麦の場合55%,フスマの場合25%を含む飼料を雛に給与して処理が成長,飼料効率,MEおよび脛骨灰分含量に及ぼす影響を明らかにした。
その結果,小麦およびフスマの水浸処理によって雛の成長,飼料効率および脛骨灰分含量は有意に改善された。6時間および20時間水浸処理による雛の脛骨灰分含量の増加量は,小麦55%配合飼料においてそれぞれ0.03%および0.05%の無機リンを無処理小麦飼料に添加した場合と等しいものであった。フスマの水浸処理による雛の脛骨灰分含量の増加量は,フスマ25%配合飼料においては,0.06%の無機リンを無処理フスマ飼料に添加した場合と等しいものであった。小麦およびフスマのMEはいずれも処理によって改善される傾向が認められた。