日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
視床下部漏斗部への各輸入路遮断によるウズラ産卵パターンの変化
丸山 総一太田 光明本間 運隆
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1984 年 21 巻 6 号 p. 301-312

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抄録
LD8:16の短日光周期下で飼育した二系統(東京大学家畜生理学教室〔豊橋由来〕,T-ライン及び城南ウズラセンター〔埼玉産〕,J-ライン)の未成熟雌ウズラを用い,微小ナイフによる視床下部漏斗部の全周,あるいはその前後各180°の輸入路遮断を行なった後,LD14:10の長日光周期下に移動し,産卵パターン,産卵率及びLHの基礎分泌を指標として,産卵の中枢支配について検討した。
従来,産卵には視索前野の関与が必須とされていたが,本実験において,若齢雌ウズラでは,視床下部漏斗部のみで産卵可能であることが示された。LHの基礎分泌は産卵率との間に正の相関が,また産卵時刻の規則性との間に負の相関がみられた。
結果の概要は以下のごとくである。
1. T-ライン無処置対照群は産卵時刻が分散する傾向を示したが,J-ラインは毎日ほぼ一定した時刻に産卵した。
2. 各輸入路遮断群は無処置群より約1週間遅れて産卵を開始した。
3. 180°前方遮断群では,両系統とも産卵時刻が分散したが,産卵率,LHの基礎分泌は無処置群と同様であった。
4. 後方180°遮断群では,両系統とも産卵率,LHの基礎分泌は無処置群に比し低下し,かつ産卵時刻は集中する傾向を示した。
5. 全周切断群では,死亡例が多く,また産卵に至らぬものが多かったが,これらを除くと,J-ラインでは,産卵率及びLHの基礎分泌の低下がみられたのに反し,T-ラインは良好な産卵率を示した。両系統とも,無処置群と類似した産卵リズムを示すものが多かった。
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