日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ハト(Columba livia var. domestica)盲腸の形態と成長に伴う発達
佐藤 孝二雨宮 陽子甲斐 蔵
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1985 年 22 巻 6 号 p. 289-296

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抄録

ハト(Columba livia var. domestica)の盲腸の形態学的観察を行い,次の結果を得た。なお,ハトとして,東山キャンパスおよび大森西住宅団地で採取したドバトを用いた。
1)ハトの盲腸は,小型であるけれども,盲腸壁にはリンパ性組織がよく発達している。
2)ファブリシウス嚢,胸腺の除去により,盲腸,脾臓の重量は減少し,対照の40~60%程度になった。
3)ファブリシウス嚢の除去により,リンパ〓胞は消失した。胸腺除去では,〓胞は消失せず,盲腸の量的縮小のみが認められた。
4)ハトの成長に伴い盲腸の重量が増加し,成長段階II(4ヶ月齢)で最大に達し,それ以後,成長段階III(6ヶ月齢),IV(成鳥)では減少した。
5)盲腸重量は,テストステロンの血漿レベルが上昇すると減少する様に思われたが,明確ではない。エストラジオールの血漿レベルとは,関連が全く認められなかった。5)以上の結果は,盲腸のリンパ性組織はその発達が,ファブリシウス嚢,胸腺に依存し,ハトの盲腸は消化器としてよりも,リンパ性組織として機能することを示唆した。
6)ハトのAge判定の指標として,盲腸が使用し得ると思われる。

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