日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
幼雛期における必須脂肪酸の栄養に関する研究
栗原 良雄伊藤 澄麿杉村 敬一郎
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1986 年 23 巻 3 号 p. 131-139

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抄録
本試験は,幼雛期に必須脂肪酸(EFA)であるリノール酸(C18:2),アラキドン酸(C20:4)とEFAではないがリノレン酸(C18:3)をそれぞれと,これら三種類の脂肪酸を除いた精製飼料を給与し,増体量(成長),飼料摂取量および飼料効率と胸筋,腿筋,肝臓および皮ふの脂肪酸組成におよぼす影響について行なった。
増体量(成長),飼料摂取量および飼料効率は,ほとんど同様な成績を示し,リノール酸,リノレン酸,アラキドン酸のそれぞれと,これらの三種類の脂肪酸を除いた影響はみられなかった。
脂肪酸組成については,リノール酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋,肝臓および皮ふのリノール酸が顕著に減少,さらに,胸筋,腿筋および肝臓中のアラキドン酸が減少を示した。また,胸筋と肝臓にアラキドン酸の先駆体であるC20:3(5, 8, 11)の存在が確認された。
リノレン酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋,肝臓および皮ふのリノレン酸が減少を示した。
アラキドン酸を除いた飼料を給与すると胸筋,腿筋および皮ふのアラキドン酸が減少を示したが,肝臓では増加を示した。
リノール酸,リノレン酸およびアラキドン酸の三種類の脂肪酸を除いた飼料を給与すると,これらの個々の脂肪酸を除いた飼料を給与したときと同様な成績を示した。
以上の事から,成長期の雛におけるリノール酸およびアラキドン酸のEFAとEFAではないがリノレン酸の必要量はきわめて少ないものと考えられる。
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