日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
飼料中の蛋白質含量と炭水化物源の違いが成長中アヒルの肝臓における脂質代謝におよぼす影響
許 振忠田中 桂一大谷 滋
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1987 年 24 巻 2 号 p. 94-102

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抄録
飼料中の蛋白質含量および炭水化物源の違いが成長中のアヒルの肝臓における脂肪蓄積および脂肪酸合成に関連している幾つかの酵素の活性におよぼす影響を検討した。
肝臓重量は,低蛋白質飼料給与によって高い値を示した。肝臓中のtriglycerideの含量は,トウモロコシを配合した飼料において,低蛋白質飼料給与時の方が,高蛋白質飼料給与時より高い値を示した。また低蛋白質飼料給与においては,トウモロコシを配合した飼料の方が,大麦を配合した飼料より高い値を示した。血清中のtotalcholesterol濃度は,大麦を配合した飼料において,高蛋白質飼料給与の方が低蛋白質飼料給与より低い値を示した。phospholipid濃度は,トウモロコシを配合した飼料と大麦を配合した飼料との間には大きな違いは観察されなかったが,いずれの場合においても,低蛋白質飼料給与時の方が高蛋白質飼料給与時より高い値を示した。肝臓細胞質中のNADP-MDH,CCEおよびG6PDHの活性は,トウモロコシを配合した飼料では,低蛋白質飼料給与時の方が高蛋白質飼料給与時より高い値を示した。またNADP-MDHおよびCCEの活性は,低蛋白質飼料給与ではトウモロコシを配合した飼料の方が大麦を配合した飼料より高い値を示した。
本実験において,アヒルの肝臓細胞質中のG6PDHの活性は,NADP-MDHの活性に比べ,約3倍の値を示し,鶏で報告されている値より著しく高い値を示した。このことは,アヒルの肝臓での脂肪酸合成の際に必要な還元物質であるNADPHの供給において,pentosephosphate経路中の脱水素酵素のはたす役割は,鶏に
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