日本ウズラを用いて,羊LH,プロジェステロン,合成LHRHに対する最大卵胞の排卵反応性を,一排卵周期を通じて検討した。Cs予想排卵前24,21,18,15,および12時間に,3種のホルモンをそれぞれ数濃度で投与した。羊LH投与による早期排卵は排卵前21時間から生じ,それ以後排卵前15時間まで,時間の経過に伴ない,より少量のLH投与によって,より高率で早期排卵が誘起された。
一方,プロジェステロン投与による早期排卵は排卵前15と12時間に誘起されたが,それ以前の時間(排卵前21と18時間)に投与した場合,排卵は誘起されなかった。排卵前21と18時間での両ホルモンの排卵誘起効果の差異は,LH放出に関する視床下部一下垂体系のプロジェステロンに対する反応性が低いために生じたと思われた。そこで,下垂体のLHRHに対するLH放出の感受性が低いために排卵が生じなかったのか否かを確かめるために,排卵前21~12時間に合成LHRHの投与実験を行なった。その結果,プロジェステロンと同様に,LHRHによってもまた,排卵前21と18時間で早期排卵を誘起することは出来なかった。これらの結果から,産卵ウズラにおいて,LH放出に関する下垂体のLHRHとプロジェステロンに対しての反応性は排卵前18時間まで低いが,最大卵胞のLHに対する反応性は同時間ですでに十分に高まっていることが示唆された。
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