日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏群の交尾行動の日内変動に対する社会的相互作用および給餌時刻の影響
園田 立信黒崎 順二
著者情報
ジャーナル フリー

1987 年 24 巻 5 号 p. 280-287

詳細
抄録
鶏の交尾行動が夕方に多くなることはよく知られているが,その変動に対する社会的相互作用の影響を検討するために,給餌時刻を変更して,雄鶏の同性,異性との社会行動の日内変動を調べた。調査鶏には雄3羽と雌10羽からなる2群を用い,給餌時刻は午前の9時または午後の15時30分とした。その結果,(1)群内での雄の性的接近は午後遅くに多くなるが,そのピークは午後の給餌でさらに高くなった。(2)雌の許容の回数は午後遅くに多かったが,雄の接近に対する雌の許容の割合は給餌直後に高かった。それ故,午後遅くの許容のピークは午後の給餌でさらに高くなり,その結果,交尾同数が午後の時間に集中した。(3)雄間の闘争行動は摂食時間に著しく増加した。従って,このピークは給餌時刻の変更によって変化した。(4)午後の給餌は交尾行動と闘争行動の両者を午後遅くに増加させたが,この増加は群内の最上位の雄鶏によるものであった。摂食時間帯においては最上位雄の攻撃等の活動が活発となって,その優位性が顕著となり,これが群内の雌に影響して許容を増加させた可能性について考察した。
著者関連情報
© 日本家禽学会
前の記事 次の記事
feedback
Top