日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
産卵鶏における排卵および放卵の摂食•飲水行動に及ぼす影響
島田 清司立松 昭範佐藤 孝二
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1987 年 24 巻 5 号 p. 288-294

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抄録

産卵鶏において放卵にともなう摂食•飲水行動の著明な変化―放卵前の行動量の減少と放卵後の増加―に及ぼす要因を検討するため誘起放卵,誘起排卵および放卵阻止を行なった。摂食行動および飲水行動の記録には個別ケージに赤外線スイッチと静電容量感知スイッチを設置し,単位時間内のついばみ時間として表わした。正常放卵に関連し摂食および飲水時間は放卵1時間前に著しく減少したが放卵直後から急激に増加した。PGF(1μg/hen)を予定放卵の約3時間前に子宮内投与して10分以内に放卵を早期に誘起しても,その直後に摂食•飲水時間は増加しなかった。しかし,その卵が本来産卵されるべき予定時刻1時間前において摂食時間が減少し,予定放卵時刻後に急激な増加が起った。ヒッジLH(100μg/hen)によって予定より4時間早く排卵を誘起した。この時,放卵も早期に起り放卵時刻前後の摂食時間の変化は,通常放卵と同様であった。しかし,予定放卵時刻になっても通常放卵時にみられた摂食行動変化はみられなかった。インドメタシン(25mg/hen)投与により放卵は10時間以上遅延し暗期に起った。しかし,摂食時間は予定放卵時刻に関連して対照群と類似した変化を示した。
以上の結果から,通常の放卵前にみられる摂食行動の減少は卵が子宮内に存在するか否かということには関係なく,放卵を調節している内在性の機構の影響を受けていると考えられた。その一つは,排卵に関連した機構であることが明らかとなったが,排卵のない最終卵放卵前でも摂食行動が減少したことから,排卵とは独立した要因も考慮に入れる必要があろう。

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