日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
等電点電気泳動法によるニワトリ血清蛋白質の解析
とくにIgGの高低選抜系統について
佐藤 孝二杉山 八千代永井 弘光甲斐 藏
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1989 年 26 巻 5 号 p. 281-288

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抄録

玉置らの開発したIgG高低選抜系統のニワトリの血清蛋白質,とくに免疫グロブリンについて,等電点電気泳動法により解析した。
1) 泳動図の全体的なパタンは,高系統と低系統との間で差がなく,両者とも約40本のバンドがみられた。しかし,バンドの濃度は異なり,pI5.7(A)-pl6.4(B)の領域では高系統の方が高かった。とくに,低系統ではpI6.0,6.1と6.2の3峯が著しく低い。
2) 高系統では,抗ブルセラ抗体の分布する領域が低系統よりもやや広く,その活性ピークはpI4.3と5.3に位置した。低系統ではpI5.3のみに位置した。
3) 孵化時におけるファブリシウス嚢の摘出により,抗体産生とIgG産生が低下した。効果は低系統の方が顕著であった。泳動図では,低系統においてA-B領域の濃度が著しく減少した。
4) 両系統の間で,IgGの多様性には差がないと結論される。また,ファブリシウス嚢にその発達が依存するIgG産生系に複数の遺伝的要因が働き,産生量を規制すると考察した。

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