日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
鶏の卵管子宮部における卵および卵様物体の存在による卵殻腺液とカルシウム分泌の刺激
仲田 正古賀 脩
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1990 年 27 巻 1 号 p. 21-28

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抄録
本論文では,鶏の子宮部における卵の存在が,同部位の卵殻腺液とカルシウム分泌に如何なる影響を及ぼすかを調べた。クラッチ第二卵(C2)排卵後の正常鶏,C2排卵後卵の卵管内への入管を阻止し,代りに模擬卵黄(直径1.0cm,長さ1.5cm,重さ3gの円柱形の寒天塊)を卵管へ挿入した鶏(模擬卵黄挿入鶏)および同様な処置でC2の入管阻止後模擬卵黄を挿入しなかった鶏(非挿入鶏)について,子宮内腔から20分間卵殻腺液を採取した。正常鶏と模擬卵黄挿入鶏のC2排卵後5~6,10~11および20~21時間目における卵殻腺液の分泌量は,非挿入鶏の場合と比較して有意に高かったが(P<0.05),0.5~2,0および25~26時間目においては差が認められなかった。同様な傾向は卵殻腺液中のカルシウム総量についても観察された。一方,クラッチの最終卵放卵後における正常鶏の卵殻腺液量とカルシウム総量は,5~6,10~11および15~16時間目において前述のC2排卵後の正常鶏と模擬卵黄挿入の排卵後の各時間と比較して低い値を示した(P<0.05)。これらの結果から,子宮内における正常卵あるいは模擬卵黄を含む卵様物体の存在は卵殻腺液とカルシウム分泌を刺激し,また,子宮部における分泌能力はクラッチの終りで減少するものと推察された。
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