日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
移植片対宿主反応によって二方向選抜された系統HAおよびLA鶏における白血球数,ヘマトクリット値ならびに補体価の比較
真島 傑奥村 仁一岡田 育穂山本 興三郎
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1991 年 28 巻 5 号 p. 256-260

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抄録
移植片対宿主反応における脾腫能力の違いによって選抜された,HA系統とLA系統の間で,3,6ならびに9週齢における末梢血液中の総白血球数,各白血球数,補体価ならびにヘマトクリット値を比較した。
総白血球数は,3週齢および9週齢では系統間で有意な差違は認められなかった。しかし,6週齢では,LA系統がHA系統に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。総白血球の差はリンパ球数の差違に依存しており,6週齢ならびに9週齢でLA系統のリンパ球数はHA系統の数を上回った。一方,単球および顆粒球の数は両系統間に差違は認められなかった。ヘマトクリット値は,3,6週齢でLA系統の値がHA系統の値を上回ったが,9週齢では両系統間に有意な差は認められなかった。マレック病抵抗性および白血球数の差違に基づいて抗原刺激が加えられた場合の両系統のリンパ球増殖能力に関し考察が行われた。補体価は,3週齢で両系統間に差違は見られなかったものの,6,9週齢ではHA系統の値がLA系統に比べ,有意に高い値を示し(P<0.05),これらの系統が鶏の補体系の研究に有用であることを示唆した。
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