抄録
WL-O系統,WL-B系統及び内在性ウイルス遺伝子の部分発現のある個体群の3群を用いて,内在性ウイルス遺伝子と細胞表面レセプター遺伝子が鶏染色体上でどういう位置関係にあるのかを後代検定法を用いて調査した。
その結果,gs抗原とchf活性の分離比はそれぞれの遺伝子座が同一染色体上にある場合の期待値に近く,我々は,少なくとも一対のgag遺伝子とenv遺伝子が同一染色体上にあるものと結論した。そして,これらの遺伝子は,ev-3遺伝子座のGsとgsの対立遺伝子と同じ性質のものであろうと推定した。一方,B亜群ウイルスに対する細胞の感受性と,gs抗原及びchf活性の分離比については,両座位が独立の場合の期待分離比に近いので,B亜群ウイルスに対する細胞のレセプター遺伝子座とこの内在性ウイルス遺伝子座とは異なる染色体上にあるものと思われた。