抄録
本研究は,14時間明,10時間暗光周期下における日本ウズラ(Coturnix coturnix japonica)の産卵率と放卵リズムに及ぼす照度の影響を明らかにする目的で計画した。実験1では3区のウズラを12週間にわたり77Lux(区名称,80L), 770Lux (770L)及び1449Lux (1500L)の照度下で飼育した。実験2では,4区のウズラに対し59Lux (60L), 181Lux (180L), 442Lux (440L)及び847Lux (850L)を20週間与えた。実験3では2区のウズラに最初の4週間は,それぞれ55Luxと75Luxで飼育した後,25L区では照度を25Luxに,6L区では6Luxに低下させて,6週間おいた。実験1と2における実験開始時週齢は13-14週齢であったが,実験3では33週齢であった。どの実験に関しても,供試ウズラは実験開始時まで平均照度65Lux, 14時間明:10時間暗の光周期下で飼育したものであった。全ての実験で,毎日,個体毎に放卵時刻を調べた。
実験1において,770L区と1500L区の産卵率は,それぞれ94.5と94.8%であり,80L区の88.7%に対し有意に高かった(P<.05)。770L区と1500L区の放卵間隔はともに24.1時間で,80L区に対し0.5時間短くなった(P<.05)。実験2の4区はともに産卵率が90%を越えたが,区間に有意差はなかった。60L区と180L区に対して440L区と850L区は放卵間隔が有意に短かった(それぞれ24.5, 24.4に対し24.3, 24.1時間)。実験3の低照度に移行前の産卵率は92%を越えたが,25と6Luxに低下させた後は,5-6%下がった(P<.01).照度変更後の放卵間隔は両区とも25.3時間となり,それぞれ0.4時間と0.8時間長くなった(P<.01)。
以上の実験結果から,照度はウズラの産卵と放卵リズムに影響を及ぼす重要な光要因であると考えられた。