メチオニン欠乏および過剰によるブロイラーの生産能の低下とそれに対するグリシンの緩和効果の理由を明らかにするため,2つの実験を行った。実験1では,トウモロコシ-大豆粕飼料に段階的にメチオニンを添加してブロイラーの最大生産能の至適なメチオニン水準を求あた。実験2では不足および過剰メチオニン飼料給与時の生産能低下に対するグリシンの緩和効果について調べた。
最大成長はメチオニン水準は0.46%,最大成長の70%は0.26および1.56%で得られた。そこで試験2では0.26%, 0.46%と1.56%区を選び,それに0.6%のグリシンを添加した。メチオニン過剰により成長は70%まで低下したが,グリシン添加によって88%まで緩和された。メチオニン欠乏による成長低下はグリシンでは緩和されなかった。体重に差がないにも関わらず,腹腔内脂肪含量はメチオニン過剰では欠乏時に比べ低かった。腹腔内脂肪含量はグリシン添加によって60%までしか回復しなかった。血漿メチオニン濃度はメチオニン過剰飼料によって急激に増加し,グリシン添加によって減少した。血漿グリシン,トレオニンおよびセリン濃度はメチオニン過剰によって低下しなかった。