抄録
飼料中メチオニンの過剰と欠乏が雄ブロイラーの脂肪合成能と脂肪分解能に対する影響を検討した。対照飼料として,トウモロコシ•大豆粕(CS)を主体とした含硫アミノ酸含量0.9396の飼料,試験飼料として対照飼料と等タンパク質含量(23%)及び等代謝エネルギー含量(3.2Mcal/kg)のトウモロコシ•大豆粕•グルタミン酸を主体とした(CSG)飼料にグルタミン酸と代替しながらメチオニンを添加し含硫アミノ酸含量が(0.56, 0.93, 1.1596)となるように調製した。これら4飼料を9日齢のブロイラーに自由摂取または等量給餌条件下で17日間給与した。自由摂取及び等量給餌条件下とも,肝臓のリンゴ酸脱水素酵素活性(ME)は含硫アミノ酸含量0.5696で最大値を示した。0.93%含硫アミノ酸条件下では,CS飼料のME活性低下作用はCSG飼料のそれよりも大きい傾向にあった。自由摂取条件下の脂肪酸合成酵素活性(FAS)はCSG飼料の含硫アミノ酸含量0.93%で0.56%より低くなったが,等量給餌条件下でば,FAS活性の飼料間の差は認あられなかった。自由摂取及び等量給餌条件下とも,脂肪組織のホルモン感受性リパーゼ活性は1.15%含硫アミノ酸を含んだCSG飼料で最大となった。これら含硫アミノ酸の脂肪合成と脂肪分解に対する作用は自由摂取および等量給餌条件で大きな変化はなかった。これらの結果は,飼料メチオニン自体に脂肪酸合成および脂肪分解を変化させる作用のあることを示唆している。