日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
2組のBコンジェニック系統におけるNIP-BSAおよびBrucella abortus抗原に対する免疫応答の特徴
Nitish SARKER西堀 正英山本 義雄
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1998 年 35 巻 6 号 p. 337-345

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抄録

2組のBコンジェニック系統を用いて,NIP-BSAおよびBrucella abortus (BA)に対する液性免疫反応を調べた。本実験に用いたBコンジェニック系統には,CB系統(B12B12)および移植片対宿主反応能で高方向に選抜したHA系統(B11B11)を遺伝的バックグランドとして用いた。両系統を交配してF1世代を作出し,このF1世代にCB系統あるいはHA系統を9世代にわたり戻し交雑したCBH系統(B11B12)およびHCB系統(B11B12)を作出した。14週齢時に,NIP-BSAおよびBrucella abortus抗原を等量に混ぜ合わせ,この1mlを各系統40羽(雄:20羽,雌:20羽)に静脈接種した。一次および二次免疫の各々7および14日目に採血を行った。NIP-BSAに対する全抗体価は,CB系統が一次免疫7日目,二次免疫7日目および14日目において,他の3系統よりも有意に高い値となった。また抗BAに対する全抗体価も,CB系統が一次免疫7日目の3系統に比べて有意に高く,二次免疫14日目のHAおよびHCB系統よりも有意に高かった。BAに対するメルカプトエタノール抵抗性抗体価は,CB系統が一次免疫14日目のHAおよびHCB系統より有意に高く,さらに二次免疫の抗体価においても,14日目のHA系統を除いて,有意に高かった。ウシ血清アルブミン(BSA)に対する全抗体価は,HA系統において,他の3系統の一次および二次免疫7日目およびCBH系統における一次および二次免疫14日目の値よりも有意に高かった。一次および二次免疫7日および14日目のNIPに対する全抗体価および二次免疫14日後のBSAに対する全抗体価には,同じ遺伝子型(B11B12)を持つCBHとHCB系統との間で有意な差が認められた。本実験の結果から,ニワトリではMHC遺伝子と同時にMHC以外の遺伝子が,免疫応答の調節に大きな役割を担っていることが示唆された。

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