日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
Aminoglutethimideがニワトリカルシウム結合蛋白質(CaBP-D28K)遺伝子発現に与える影響
家田 照子齋藤 昇島田 清司
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1998 年 35 巻 6 号 p. 346-355

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抄録

本研究はビタミンD依存性カルシウム結合蛋白質(CaBP-D28K)mRNAとビタミンDレセプター(VDR) mRNAの遺伝子発現に性ステロイドホルモンが与える影響を検討した。ステロイド合成阻害剤であるAminoglutethimide (AGT)を排卵後5時間の産卵鶏に投与することによって内因性のステロイド合成を阻害し,4時間後にCaBP-D28KとVDRのmRNAレベルをノーザンハイブリダイゼーション法で測定した。その結果,2種類のCaBP-D28KmRNA(2.0, 2.8kb)と1種類のVDRmRNA (2.6kb)が検出された。AGT投与によって4時間後に小腸と卵殻腺のCaBP-D28KmRNA, VDRmRNAレベルが有意に減少した。しかし,プロジェステロン(P4),安息香酸エストラジオール(EB)をAGTと同時に投与しても,卵殻腺のCaBP-D28KmRNA, VDRmRNAレベルを回復させることができなかった。小腸でも卵殻腺と同様,P4, EBによってCaBP-D28KmRNA, VDRmRNAレベルを回復させることができなかった。血漿カルシウム濃度はAGT投与によって,わずかに減少したが,有意な減少ではなかった。また,卵殻相対重量も,AGT投与によって,コントロールに比べ有意に減少したが,AGTとP4及びEB投与によって回復することはなかった。産卵鶏の卵殻形成時において,ステロイドインヒビターであるAGTを産卵鶏に投与することでCaBP-D28KとVDRのmRNAレベル及び,卵殻相対重量が有意に減少したことから,小腸及び卵殻腺におけるCaBP-D28K, VDR遺伝子発現及び卵殻腺カルシウム流動に性ステロイドホルモンが関係していると考えられた。しかし,P4もしくはEB単独では,CaBP-D28KとVDRの遺伝子発現に直接影響を与えるものではないと考えられた。

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