日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
床皮タンパク質あるいは卵白タンパク質のin vitro消化時に遊離するアミノ酸の組成
桜井 健一唐澤 豊神 勝紀
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2001 年 38 巻 5 号 p. J14-J22

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抄録

ニワトリの消化管内で消化時に遊離するアミノ酸の組成が飼料タンパク質のアミノ酸組成と同じであるかどうかを明らかにするため,床皮あるいは卵白をin vitro消化し遊離するアミノ酸の組成を調べた。
卵白あるいは床皮を塩酸水溶液に懸濁して30分後に,(1)ペプシンを添加して4時間後(pep 4), (2) pep 4の後トリプシンを添加し4時間後(tryp 4), (3)tryp 4の後αーキモトリプシンを添加して4時間後(chyt 4),および(4) chyt 4の後ニワトリ小腸液を添加して6時間後(intes 6)に遊離アミノ酸量を測定した(実験1)。遊離アミノ酸量は床皮,卵白ともpep 4とchyt 4では少なく,tryp 4とintes 6で顕著に増加した。元のタンパク質のアミノ酸量に対する各遊離アミノ酸量の割合は床皮,卵白とも,いずれの酵素反応後も,Asp, Thr, GlyおよびProが低く,TyrとPheは高かった(最高はintes 6における床皮のTyrの約60%)。総遊離アミノ酸量は常に床皮が卵白より少なく,床皮ではいずれの酵素反応後も遊離Hypは検出されなかった。
実験2では卵白あるいは床皮を塩酸水溶液に30分間懸濁してから,(1)ペプシンを添加して1時間後(pep 1), (2)pep 1の後パンクレアチンを添加して1時間後(panc l),および(3) panc 1の後ニワトリ小腸液を添加して1時間後に遊離アミノ酸量を測定したところ,長時間反応の実験1と同様の結果が得られた。
以上の結果から,ニワトリヒナが摂取した床皮は消化管内で卵白より遊離アミノ酸を生じにくく,床皮,卵白とも遊離しやすいアミノ酸と遊離しにくいアミノ酸が存在すること,および消化によって産生される遊離アミノ酸パターンは床皮と卵白の元々のアミノ酸パターンと異なることが示唆された。

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