日本家禽学会誌
Print ISSN : 0029-0254
ヤマドリ (Phasianus soemmerringii scintillans) の増殖に関する研究
I. 人工授精による繁殖成績
丸 猶丸一戸 健司斉藤 臨平林 忠
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1968 年 5 巻 2 号 p. 96-101

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抄録
1. ヤマドリの産卵数は平均19.8 (5~40) ケ, 産卵期間は55.7 (10~97) 日で可成りの個体差がみられ, その最盛期は4月中旬~5月中旬と思われた。また年令の点では, 3, 4才のものが優れていた。
2. 人工授精による受精率は84.3%, ふ化率 (対受精卵) は84.0%と良好な結果が得られた。
3. 精液の採取可能期間は3月上旬~6月上旬までで3月中旬~4月中旬が最も結果がよく, その採取量は平均0.025 (0.005~0.1)ml, 一般に3, 4才の種禽から多量の精液が得られた。
4. 上記の3点から, ヤマドリの繁殖適令期は3, 4才と思われ, またその繁殖最盛期に♀, ♂によって約1ケ月間の幅があるので, これらの調整がヤマドリの増殖をより有効ならしめる要因であると推察した。
5. 一般に♀雛の発生は♂雛よりも多く, この傾向は受精率の高い場合により明瞭に現われていた。また産卵順位と雛の性比との間にも何等かの関係があるように思われた。
6. 雛の成育には, 4週令頃より♀, ♂による差異が認められ, この頃が雛の♀, ♂分離飼育の適期と推察した。
以上は, 過去5年間に亘る人工授精によるヤマドリの繁殖成績を考察したものであるが, 不備の点が多いので, 今後なお追試によって解明したい。
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