日本予防理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-9950
研究論文(原著)
地域在住高齢者における非糖尿病,前糖尿病及び糖尿病と転倒との関係と身体機能の変化について
解良 武士 河合 恒江尻 愛美平野 浩彦渡邊 裕藤原 佳典金 憲経井原 一成大渕 修一
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ジャーナル オープンアクセス

2022 年 1 巻 p. 3-9

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抄録

【目的】本研究の目的は前糖尿病状態や糖尿病における転倒リスクの評価と,糖尿病を持つ転倒者の身体的機能の特徴について,縦断的な観察から明らかにすることである。【方法】我々のコホート研究の2011~2018 年の参加者のうち追跡が行えた541 人を対象に,ベースライン時およびその後の3 年間の転倒歴を調査した。ベースライン調査後に経験した転倒はCox 比例ハザード分析を使用して評価した。 さらにフォローアップ期間中に糖尿病と転倒を経験の有無で身体機能の変化を比較した。【結果】転倒の発生は,非糖尿病群,前糖尿病群,糖尿病群でそれぞれ18.8 %,17.1 %, 31.6 %であった。Cox 比例ハザード分析では,糖尿病が転倒と関連していることを示したが(ハザード比 2.99,95 % 信頼区間1.52-5.88),前糖尿病状態は関係していなかった。転倒が発生した糖尿病群は片足立時間が短く,さらにその低下も著しかった。【結論】糖尿病を有する高齢者の転倒予防の対策として,特にバランス機能の維持改善は極めて重要である。

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© 2022 一般社団法人 日本予防理学療法学会

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