日本予防理学療法学会雑誌
Online ISSN : 2436-9950
1 巻
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巻頭言
研究論文(原著)
  • 解良 武士, 河合 恒, 江尻 愛美, 平野 浩彦, 渡邊 裕, 藤原 佳典, 金 憲経, 井原 一成, 大渕 修一
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2022 年 1 巻 p. 3-9
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究の目的は前糖尿病状態や糖尿病における転倒リスクの評価と,糖尿病を持つ転倒者の身体的機能の特徴について,縦断的な観察から明らかにすることである。【方法】我々のコホート研究の2011~2018 年の参加者のうち追跡が行えた541 人を対象に,ベースライン時およびその後の3 年間の転倒歴を調査した。ベースライン調査後に経験した転倒はCox 比例ハザード分析を使用して評価した。 さらにフォローアップ期間中に糖尿病と転倒を経験の有無で身体機能の変化を比較した。【結果】転倒の発生は,非糖尿病群,前糖尿病群,糖尿病群でそれぞれ18.8 %,17.1 %, 31.6 %であった。Cox 比例ハザード分析では,糖尿病が転倒と関連していることを示したが(ハザード比 2.99,95 % 信頼区間1.52-5.88),前糖尿病状態は関係していなかった。転倒が発生した糖尿病群は片足立時間が短く,さらにその低下も著しかった。【結論】糖尿病を有する高齢者の転倒予防の対策として,特にバランス機能の維持改善は極めて重要である。

  • ―身体・心理・社会面に着目した横断研究―
    森 優太, 竹田 徳則
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2022 年 1 巻 p. 10-18
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】通いの場参加高齢者のうち身体的プレフレイルと各要因の関連を検討する。【方法】通いの場13 箇所へ参加している高齢者で身体的フレイルを除く188 名のデータを用いた横断研究である。目的変数は身体的プレフレイル該当・非該当,説明変数を基本属性,身体,心理,社会的側面としたロジスティック回帰分析を行った。【結果】身体的プレフレイル該当54.3 %,非該当45.7 %,2 群共に通いの場参加後に新たな運動実施は6 割以上を示していた。身体的プレフレイルと有意な関連を認めた項目は,転倒不安感・基本チェックリスト認知項目・30-seconds chair-stand test であった。【結語】通いの場に参加する身体的プレフレイル高齢者では,立ち上がり着座動作に加えて,転倒恐怖感や認知機能に関する評価に着目することが重要と考えられた。

  • 牧迫 飛雄馬, 白土 大成, 椎葉 竜平, 谷口 善昭, 窪薗 琢郎, 大石 充
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2022 年 1 巻 p. 19-24
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】地域在住高齢者における運動器疾患,転倒歴および多剤併用とサルコペニアとの関連性を調べることを目的とした。【方法】地域コホート研究に参加した高齢者905 名を対象とし,運動器疾患の有無,1 日の服薬数,過去1 年間での転倒歴を聴取した。サルコペニアはAWGS2019 の基準で判定した。【結果】全対象者のうちの166 名(18.3 %)がサルコペニアに該当した。骨粗鬆症を有する者ではサルコペニアの該当者が有意に多かったが,脊椎疾患および変形性関節症とサルコペニアとの関連は認められなかった。ロジスティック回帰分析の結果,運動器疾患とサルコペニアの関連は確認されず,多剤併用(6 剤以上)(オッズ比1.56)および転倒歴(オッズ比1.65)がサルコペニアと有意に関連していた。【結論】骨粗鬆症を有する高齢者ではサルコペニアに該当する者の割合が高かったものの,多変量解析においてはサルコペニアと運動器疾患との関連性は認められず,多剤併用および転倒歴がサルコペニアと関連する要因として抽出された。

  • 中村 睦美, 卜部 吉文, 横田 亜紗子, 奥山 順美
    原稿種別: 研究論文(原著)
    2022 年 1 巻 p. 25-31
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究は,COVID-19 による緊急事態宣言解除後に再開した介護予防自主グループ活動参加者の主観的健康感とグループ活動に対する意識を明らかにすることを目的とした。【方法】再開した自主グループ活動参加者に活動自粛中と再開後の主観的健康感とグループ活動への意識についてアンケート調査を行った。主観的健康感と時期の関連については,カイ二乗検定を行った。【結果】対象者は11 グループ,73 名78.0(6.3)歳であった。活動自粛中と再開後の主観的健康感について有意差はなかった。グループ活動への意識については,活動自粛中は散歩や体操へ取り組む者が多く,再開して良かったことは「仲間に会える」,不安なことは「感染リスク」や「体力,筋力の低下」が多かった。【結論】グループ活動再開後は,健康に不安を感じながらも,社会参加や身体機能向上効果を感じており,再開に対して前向きに捉えていることが推察された。

症例報告
  • 石本 泰星, 三木 貴弘, 殿尾 守弘
    原稿種別: 症例報告
    2022 年 1 巻 p. 32-38
    発行日: 2022/03/31
    公開日: 2022/03/30
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本研究の目的は腰痛を有する症例に対する教育的アプローチを主とした訪問リハビリテーションが奏功した経験を報告することである。【方法】対象は脊柱固定術後70 日経過した70 歳代の女性である。対象には週2 回,1 回40 分の訪問リハビリテーションが3ヵ月間提供された。内容としては教育的アプローチ,運動療法および有酸素運動,仕事作業練習を実施した。アウトカム指標は日本語版Roland-Morris Disability Questionnare(以下RDQ)をメインアウトカムとし,疼痛,破局的思考,精神状態,身体機能を訪問リハビリテーション開始時と終了時また訪問リハビリテーション終了から6ヵ月後に測定した。【結果】教育的アプローチを主とした多面的な介入を3ヵ月間実施した結果,日本語版RDQ や疼痛,破局的思考,精神状態,身体機能において大きな改善を認めた。またその効果は訪問リハビリテーション終了から6ヵ月後も維持されていた。【結論】訪問リハビリテーションにおける多面的な介入は,腰痛による日常生活の機能障害,破局的思考,精神状態に好影響を与える可能性が示唆された。

編集委員会・編集後記
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