Journal of Reproduction and Development
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原著
凍結牛体外受精由来胚の生存性に及ぼす融解速度の影響
山本 憲音井 威重小山 信幸立川 進
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1996 年 42 巻 5 号 p. j21-j24

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抄録
牛体外受精由来胚をI法では,1.4 Mグリセロールを含む0.2 Mシュクロース加20%牛胎児血清添加修正リン酸緩衝液(修正PBS),II法では,1.6 M 1, 2-プロパンジオール加修正PBS,III法では1.8エチチレングリコール加修正PBSを保存液として凍結保存し,融解速度が胚の生存性に及ぼす影響について検討した.I法では,ストロー内の胚(5個/ストロー)を含む液層(5~10 mm)の両端を空気層(3~5 mm)を介し0.2Mシュクロースで満たし,II法は同様に両端を0.3Mシュクロースで満たした.III法は全ての液層を保存液で充填した.胚を含むストローを-25~-30 Cまで緩慢に冷却し,液体窒素中で凍結保存した.ストローは,液体窒素中から直接10,20,30,40,50 Cの温水に移し,ストロー内の氷晶の消失を確認後直ちに,中味をシャーレに取り出し,胚は卵丘細胞と共培養して,胞胚腔回復率(生存率)及び脱殻胚盤胞までの発育率を比較した.I法での生存率は,融解速度による差は認められなかったが,発育率において,10 C区(462 C/分)で低値を示し(32%),融解速度が高くなるにつれて発育率も増加した.II法では,20 C区(876 C/分)の生存率および発育率がそれぞれ94%,77%で,他の区に比べ有意に(P<0.05)高かった.III法では融解速度に関わらず高い生存率(82~94%)および発育率(73~91%)が得られ,融解速度による差は認められなかった.
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© 1996 Society for Reproduction and Development

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