家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
牛の異性双仔, 3仔および4仔における性染色体のキメラ (XX/XY) に関する研究
金川 弘司
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1967 年 13 巻 2 号 p. 39-46

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抄録
異性双仔50例 (雄:17, フリーマーチン:25, 非ブリーマーチン雌:8), 異性3仔2組 (雄:1, フリーマーチン:2, 非フリーマーチン雌:1) および異性4仔1組 (雄:1, フリーマーチン:3) について, 血液, 骨髄その他2~3の臓器を組織培養して, それらの染色体の観察を行なった。その成績を要約すれば次の如くである。
1) 異性双仔例のうちフリーマーチンおよびそれと双胎の雄牛では, 血液の白血球培養および骨髄細胞の観察により例外なく性染色体のキメラ (XX/XY) が認められた。これらキメラの出現率は異性双仔16組中14組の雄とフリーマーチンの間で有意差がみられなかった(P<0.05) 。また, 7例について生後3~15ヵ月に亘り,培養白血球における性染色体のキメラを検査した結果,少なくとも生後1年前後はキメラの出現率に恒常性がみられた。さらに4例について, 同一個体の胸骨および両側腸骨から骨髄液を採取した場合のキメラの出現率も同一個体ではほぼ平行した値を示した。
2) 異性双仔でありながらフリーマーチンにならない雌牛では雌型の性染色体のみが観察され, キメラは観察されなかった。
3) 異性3仔 (雄:1, フリーマーチン:2)
血液の培養白血球および骨髄細胞の観察では3例とも性染色体のキメラが認められた。しかし, 性腺, 腎, 肺,甲状腺などの組織培養材料では3例ともキメラは観察されなかった。
4) 異性4仔 (雄:1, フリーマーチン:3)
培養白血球の検査では4例とも性染色体のキメラが見られ, その出現率は4例の間でほぼ平行していた。赤血球の抗原分析でも異なる4遺伝子構成が推定され四重キメラを呈しているのが観察された。
5) キメラの成因に関しては, 遺伝的なものではなしに, 胎生初期に胎膜の血管吻合による造血細胞を中心とした原基細胞が双仔, 3仔および4仔間で互に移植され, 移植細胞の機能が生後も継続されていることによるのではないかと推論した。
6) 血液の白血球培養法による性染色体の観察によってフリーマーチンの確実な早期診断の可能性が示唆される。
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