抄録
下垂体摘出幼若雄ラットを用いて定められている前立腺単位(Pr. U)標示のHCG, PMSGおよびtesto-steroneを下垂体摘出成熟雄ラットに投与して,これらホルモンの精子形成に対する作用の差異を比較検討した。
前立腺腹葉重量増加反応において,HCG 2 Pr.U(0.4MU),3 Pr. U, 6 Pr. U, 12 Pr.U,はPMSG 3 Pr.U (2IU),5Pr. U, 6 Pr. U, 8 Pr. Uにそれぞれ一致した。これら両ホルモンが互いに符合する用量間では,精巣および副生殖器官の重量は,それぞれほぼ近似していた。精巣組織所見は,HCG 3 Pr.U と PMSG 5 Pr. U投与群間には有意差を認めなかった。しかし, HCG12Pr.UとPMSG 8 Pr.U投与群を比較すると,HCG投与群の前細糸期精母細胞,ステップ7精子細胞の数が,PMSG投与群のそれよりも有意の増加を示した。また精細管の口径についても,HCG投与群がPMSG投与群のそれよりも優っている。
これらの成績から,下垂体摘出成熟雄ラットの前立腺腹葉重量を指標としてホルモンの力価を定めた場合,HCGの精子形成作用はこれと等力価のPMSGのそれに比べて僅かに優っていることを認めた。
さらに,これら両ホルモンとtestosteroneの精子形成作用を比較すると,testosteroneがもっとも劣っていた。