日本繁殖生物学会 講演要旨集
第98回日本繁殖生物学会大会
セッションID: 140
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内分泌
ブタ下垂体後葉中のプロラクチン放出因子(PRF)に関する研究
*米澤 智恵美野中 寿美恵滝澤 美紗子山下 哲郎橋爪 力
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抄録
【目的】ブタの下垂体後葉中にはPRFが存在するが、その物質が何であるかは分かっていない。本研究では、ブタ下垂体後葉をペプチド抽出分画(ペプチド分画)とその他の分画(非ペプチド分画:主に蛋白質)に分けin vitroでプロラクチン(PRL)放出活性を調べた。また、後葉中にはオキシトシン(OT)とバソプレッシン(VP)が含まれるのでOTとVPのPRL放出活性も同様に調べた。
【方法】ブタ下垂体後葉中のペプチド分画はMoriらの方法に従い、酢酸を用いて調製した。6ヶ月齢の去勢豚から得た培養ブタ下垂体前葉細胞にペプチド分画(0.0125~0.2 eq/ml,1eq=1頭分の下垂体後葉抽出物)、非ペプチド分画(0.01~1.0 mg/ml)、OT及びVP(10-11 M~10-7M)をそれぞれ培養下垂体前葉細胞に添加し、2時間培養した後、培養液中に放出されるPRL濃度をEIAにより測定した。
【結果】ペプチド分画添加時のPRL濃度は、0.2 eq/ml濃度添加時において対照区に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。また、非ペプチド分画添加においてもPRLの放出が見られ、0.25、0.5及び1.0 mg/ml濃度で対照区に比べ有意に高い値を示した(P<0.05)。一方、OT、VPでは有意なPRL放出は見られなかった。本研究の結果はPRFはペプチドの他、ペプチド以外の物質である可能性を示唆する。またOTとVPはブタではPRL放出に関係しないことも示す。
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© 2005 日本繁殖生物学会
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