地域漁業研究
Online ISSN : 2435-712X
Print ISSN : 1342-7857
論文
太平洋島嶼国における対日生鮮マグロ流通の実態
フィジー、トンガ、ソロモンを事例として
タポウ-タウファ サロメ佐野 雅昭久賀 みず保
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ジャーナル オープンアクセス

2013 年 54 巻 1 号 p. 25-53

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抄録

生鮮マグロ輸出は、太平洋島嶼国の経済発展にとって重要な手段である。本論文では、太平洋島嶼国における生鮮マグロ輸出を促進するためにどのような改善策をとれば良いかという問題意識から、日本向けの生鮮マグロ輸出の現状を分析する。また、生鮮マグロ流通の改善するための主な要因を明らかにしていく。このような流通改善について考察することは、太平洋島嶼国の発展経済を持続的に支えるものであり、研究の意義は高いといえる。そこで生鮮マグロ流通において実績を重ねている代表的な3カ国、フィジー、トンガ、ソロモンを分析対象とし、流通関係者への聞き取り調査をもとに上記の目的に接近した。

分析の結果、生鮮マグロの流通において最も重要な要因は品質管理であることが明らかになった。収益はマグロの品質によって左右されることから、水揚げ後の品質管理が非常に重要である。いかに品質を最も良い状態で管理できるかによって、流通チャネルが構築されている。また、生鮮マグロを扱う上でいかに迅速な流通を行うかということも重要であることが明らかになった。このような品質管理をより確実に実現するためには、主に2つの手段が考えられる。第1に、流通手段である航空便の利便性を高めること、第2に倉庫や加工施設、氷製施設や空港などのインフラ整備である。これらが実現されることで、マグロの品質管理がより容易になるであろう。そして販売先への円滑なマグロの高鮮度流通が行えるのではないだろうか。効果的な流通チャネルというのは、短時間で行うことが重要である。そうした迅速な流通は、上記の2つの手段が可能となることで達成されるであろう。

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© 2013 地域漁業学会
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