横浜市は, 汚泥焼却の省エネルギー化を図るため, 1984年2月, 南部汚泥処理センターの焼却能力100 [t/D] の流動焼却炉に, 日本で初めて蒸気間接加熱型乾燥機を付加した.これによって, 焼却炉の廃熱をケーキ乾燥用熱源として利用し, ケーキを自燃させ, さらに焼却能力を150 [t/D] に向上させた.このシステムは, 焼却炉の炉内温度制御を目的に, 脱水ケーキと乾燥ケーキを焼却炉に混合投入することが特徴である.システムの建設に先立って, パイロットプラントにより, 乾燥機の構造, 含水率制御等の検証を行った.乾燥ケーキ単独の焼却実験では, 脱水ケーキの水分, 可燃分等の性状が変動し, 乾燥機での含水率制御が困難で, ケーキの乾燥度が高過ぎると過燃焼状態となり, 逆に低過ぎると補助燃料を多量に必要とした.次に湿ケーキと乾燥ケーキの混合投入を試みた結果, 投入比率を変えることによって, 補助燃料を必要としない自燃領域での炉内温度制御ができた.実プラントは, これらの実験結果を基に建設し, 現在円滑に運転している.
本報では, この湿・乾ケーキの投入比率制御により炉内温度をコントロールし, 補助燃料を削減した乾燥機付流動焼却炉の自動制御について報告する.