日本放射線影響学会大会講演要旨集
日本放射線影響学会第49回大会
セッションID: P1-35
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損傷・修復(回復・DNA損傷・修復関連遺伝子[酵素]・遺伝病)
NBS1によるATM非依存的MRE11局在を介した相同組換え修復の調節
*中村 恭介坂本 修一飯島 健太望月 大輔勅使河原 計介小林 純也松浦 伸也田内 広小松 賢志
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抄録
DNA二重鎖切断(DSB: double strand breaks)が起こると、NBS1はATM、MRE11と相互作用し、イントラS期チェックポイント調節や、DSB修復に関与する。ニワトリNBS1が相同組み換え(HR: homologous recombination)によるDSB損傷修復に必須であることを報告した。さらにNBS1のHRにおける機能的役割やATM、MRE11との関連性について解明すべく、様々なNBS1変異体を作製し、それらのHR活性をDR-GFPとSCneoアッセイにより解析した。その結果、C末端に存在するMRE11との結合ドメインを欠失した変異体はHR活性を全く回復できず、N末端領域のFHAまたはBRCTドメインの変異体もほとんどHR活性を回復することが出来なかった。これら変異体のHR活性の欠失は、損傷部位におけるMRE11のフォーカス形成の異常と一致する。対照的に、ATMからリン酸化を受けるセリン残基の変異体と、ATMとの結合ドメインを欠失した変異体はHR頻度にほとんど影響を与えなかった。これはATMそれ自体と、NBS1のATM結合ドメインはイントラS期チェックポイント調節に必須であるが、ATMの欠損によりDSB損傷時のHR修復が減少しないという結果からも確認できる。つまりNBS1は細胞周期チェックポイント調節においてATMと協調して働くが、HR修復においてはそうではないということである。これらの結果は、NBS1のN末端とC末端のドメインがMRE11ヌクレアーゼをDSB部位へリクルートし、その部位に維持することによりHR経路を活性化しおり、それはATM非依存的であることを示している。
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© 2006 日本放射線影響学会
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