抄録
【目的】放射線治療と化学療法は、副作用を伴い、癌患者は一様に体力が低下し、食欲や免疫力も低下する。抗癌剤や放射線治療の副作用は、社会的な関心が高い。本研究では、AHCCの抗酸化作用、SOD様活性、免疫賦活作用などを検討した。さらに、放射線治療との併用時に放射線防護による副作用の低減への有無を検討した。
【方法】抗腫瘍効果においては、実験群を8群に分け、ICR miceの右大腿部にScc-7を接種し、AHCC 250mg/kg毎日、経口投与した。抗酸化作用の実験では、in vitroにおいてはAAPHラジカル消去能の実験をin vivoにおいてはルミネッセンスリーダーを用いた抗酸化活性の測定、マイクロプレートリーダーを用いたSOD様活性の測定をした。更に、AHCC投与後、マウスのリンパ球によるCD-3細胞、CD-4細胞及びCD-8細胞の測定を行った。
【結果】抗腫瘍効果ではAHCC投与により腫瘍の成長が抑制された。また、リンパ球数、単球数の増加がみられた。抗酸化活性では、AHCC投与により、抗酸化作用が確認された。また、AHCC投与によるCD-3細胞、CD-4細胞活性も認められた。
【考察】AHCC投与群では、抗がん効果もあり、しかも放射線と併用投与においても防護効果が認められたことより、抗酸化作用及び免疫回復作用によるものと考えられる。
【総括】AHCCはがん細胞のタンパク質と分裂指数の低下を引き起こすためとグルカンにより免疫活性により癌細胞の分裂増殖を抑制すると考えられる。今後、AHCCは放射線防護効果が期待される。