抄録
Common Data Processing System (COMPRO)はスペクトルデータ処理用のソフトウェアとして,VAMASプロジェクト(Versailles Project on Advanced Materials and Standards) の下で1989年から作成が開始された.COMPROを用いることにより,データ構造が異なるスペクトルデータをISO規格のデータ構造に変換することができ, ISO規格に基づくエネルギー軸や強度軸の校正が可能で,かつ,多くの研究者が提案した多様なデータ処理法を利用することができる.また,COMPROはスペクトルデータベースや表面分析に必要な物理定数のデータベースを備えている.
COMPROはバージョンアップを重ね,現在はWindows 7, 8, 10上で動くVersion 12 (COMPRO12)が公開されている.本解説ではCOMPROに用いられている基本的なアルゴリズムの解説も含めて,COMPRO12の使用法を紹介する.