不安症研究
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特集:社交不安症
社交不安症の診断と評価
朝倉 聡
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2015 年 7 巻 1 号 p. 4-17

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抄録

社交不安症(SAD)は,他者の注視を浴びる可能性のある社交場面に対する著しい恐怖または不安を特徴とし,自身の振る舞いや不安症状を見せることで,恥をかいたり恥ずかしい思いをしたり,拒絶されたり,他者の迷惑になったりして否定的な評価を受けることを恐れる病態とされる。DSM-5では特定する病型に関する記述が変更されており,DSM-IVでは,多くの社交状況で著しい恐怖感,不安感が出現し回避行動が多くなる全般性を特定することになっていたが,DSM-5では,行為状況のみに状況が限定されるものをパフォーマンス限局型と特定することになった。また,「他者の迷惑になるだろう」と恐れることが診断基準に加えられ,わが国の対人恐怖をSADとして診断する方向となった。しかし,自己臭恐怖,醜貌恐怖が日本語名のまま他の特定される強迫症および関連症に分類されることになったことは混乱をきたしやすい。SADの臨床症状評価尺度としてはLiebowitz Social Anxiety Scale (LSAS)が使用されることが多く,その日本語版であるLSAS-Jは信頼性,妥当性が検証され臨床試験にも使用されている。また,わが国の対人恐怖症状も含めて評価できる社交不安/対人恐怖評価尺度(Social Anxiety/Taijin-kyofu Scale; SATS)も紹介した。

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© 2015, Japanese Society of Anxiety Disorder
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