農業食料工学会誌
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研究論文
ヨトウガの性フェロモンに対する触角電位応答
小林 充片岡 崇青沼 仁志柴田 洋一
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2015 年 77 巻 3 号 p. 179-185

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抄録

鱗翅目害虫のオス成虫はメス成虫の分泌する性フェロモンを触角で感知すると,触角内部に数mVの生体電位(以下,触角電位)が生じる。本研究では,害虫発生予察のために,ヨトウガを対象とし,性フェロモンに対する触角のセンシング機能を検討した。触角はヨトウガの頭部から切り離し,両端から脳波測定用ペーストを介して,計測器へ接続し,触角電位を計測した。この結果,切除した触角の寿命は最長200分程度であること,性フェロモン刺激は5秒以上の間隔を空けることが望ましいことがわかった。そして,メス性フェロモンの主成分である(Z) -11-ヘキサデセニルアセタート濃度に応じて触角電位の電位差は大きくなり,この変化を近似曲線で表すことができた。これより,オス成虫の触角電位応答を計測することで,メス成虫の発生動向の予察の一助になると考えられる。

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© 2015 農業食料工学会
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