農業生態系において非線形現象は遍在的である。例えば,柑橘類における隔年結果現象は非線形ダイナミクスの典型例として知られている。温州ミカンの樹木個体レベルで隔年結果現象は,いわゆる資源収支モデルで記述されるメカニズムによって説明されている。一方,隔年結果という用語は,樹木個体レベルの収量変動の現象だけではなく,温州ミカンの国内市場における収量や価格の変動現象に対しても用いられる。本研究では,個体レベルの変動モデルを振動子と考えて,大量の振動子集団に共通ノイズを加えることによって,振動子間に結合を有しない場合にも集団レベルでの同調現象が隔年結果とし生じることを数値実験によって明らかにした。