農作業中の疲労状態の可視化のための心身状態の診断手法の開発を目的として,心電-脈波同時計測信号に対する解析手法の検討を行った。座位安静状態の被験者による心電-脈波同時計測信号に対して,相互相関関数によって時間遅れを求めた。その結果,各被験者の心電-脈波信号の時間遅れは被験者間で有意な差を示した。また,脈波信号の特徴可視化の新たな手法としてポアンカレ断面の可能性を検討した。新たに心電信号をトリガーとして用いた脈波信号のポアンカレ断面の生成手法を検討した結果,脈波信号の平均周期を用いた従来法よりもポアンカレ断面の点のばらつきが少なく,提案手法は,脈波信号のダイナミクスの構造を明確に把握するのに有効と考えられた。