本研究では,湿潤土壌に対応した大豆用高速畝立て播種機の開発を行っており,本報では新たに開発した試作機の播種性能を試験した。既存の耕うん同時畝立て播種機は,アップカットロータリを用いるため作業速度が0.3~0.6 m/sと低速で,湿潤土壌では土の練り付けが課題であった。試作機は乾燥土壌条件では1.6 m/sで作業可能であり,出芽率は90 %以上であった。また,土壌の液性指数が1を超える湿潤土壌条件下では既存機の2倍の速度である1.2 m/sで作業可能であった。出芽率は,既存機では土壌表面のクラストにより大きく低下した一方で,試作機では90 %以上を維持した。試作機は既存機より湿潤土壌への適応性が高いことが明らかとなった。