抄録
単結晶SD46ダイヤモンド砥粒の三次元切れ刃形状を走査型レーザ顕微鏡 (SLM) で測定し, 切削方向に対する砥粒切れ刃の姿勢に注目して1面切れ刃と2面切れ刃にモデル化した. 1面切れ刃はすくい角と刃先角, 2面切れ刃はすくい角とくさび角で形状を特性化した. 次に, それぞれの切れ刃モデルについて硼珪酸ガラスの単粒切削実験を行い, 切削条痕をSEMとSLMで観察することにより, 除去過程が延性領域から延性・脆性境界領域に遷移する点の切込み深さ, すなわち, 臨界切込み深さdcを測定した. その結果, 負のすくい角35~90°の範囲でdc値は60~160 nmの範囲に分布し, 負のすくい角が大きくなるほどdc値は小さい値を示すこと, ダウンカットに比べてアップカットのほうが20 nmほど大きい値を示すことがわかった. また, 砥粒切れ刃と同等のすくい角領域では, 刃先を精密に成形した単結晶ダイヤモンド平バイトのほうが25 nmほど大きいdc値を示すことがわかった.