抄録
本研究では,次世代高放熱積層板として開発された高硬度であるが高熱伝導なフィラを充填したアルミナフィラ含有プリント基板を対象に,マイクロドリル加工現象を考察するためにドリル摩耗特性を調べ,実用加工条件式を導出した.さらに,高熱伝導フィラ含有プリント基板における熱伝導特性の変化が加工時の基板温度へ及ぼす影響を調べた.その結果,次のことが明らかとなった.基板温度は基板のフィラ量増加に伴う放熱作用及び工具摩耗による発熱作用の複合現象が起きており,ある切削速度で基板温度の極大値が発生することがわかった.また,導出したドリル摩耗の実用加工条件式はサンドエロージョン効果を考慮するとテーラーの工具寿命方程式と似た形となった.そして,ケーススタディの結果,導出した実用加工条件式の有用性を示した.