2013 年 57 巻 5 号 p. 309-313
ラピッドローテーション研削とトランケートツルーイング・マイクロドレッシングを融合したラピッドローテーション鏡面研削は,高能率な鏡面研削が実現できるだけでなく,砥石と工作物をともに高速化させるため各砥粒と工作物との接触時間が極めて微小になる.そのため,熱影響層が小さく抑えられ,高品位な鏡面研削が可能になる.本研究では,砥石周速度200 m/sの超高速研削において,工作物周速度も従来の10倍まで高速化させたラピッドローテーション鏡面研削による焼入れ鋼の研削加工を行った.ここでは,研削能率を従来の研削条件と等しくさせた場合のラピッドローテーション鏡面研削による加工変質層や金属組織,残留応力などについて述べる.実験の結果,ラピッドローテーション鏡面研削領域の超高速研削においても0.10 μmRa以下の鏡面が得られること,極表層は金属組織が微細化され,工作物表層に圧縮残留応力を付与できることを明らかにし,従来の研削に対するRRMG法の有意性を確認した.