本研究は，小学校生活科においてコメント付き写真を共有した児童と共有しなかった児童の振り返りを比較し，コメント付き写真の共有が振り返りでの気付きに及ぼす効果を検証することを目的とした。58名からなる第2学年の児童が野外観察でコメント付き写真を作成し，振り返りにおいて気付きを記述する生活科授業を実践した。コメントと振り返りの気付きを比較した結果，コメント付き写真を共有した児童は，共有しなかった児童に比べて，コメントにおける気付きは変わらないが，振り返りにおいて「視覚」「触覚」「嗅覚」「目的・疑問」「過去の経験」「情緒」に関する気付き，科学的プロセスを形成する指標で評価される気付きが多く現れることが明らかになった。さらに，共有認識についての質問紙調査と科学的プロセスを形成する指標で評価される気付きの増減調査を行った。これらの結果から，生活科での野外観察で作成したコメント付き写真の共有は，振り返りにおける気付きの質的な高まりを促進し，理科との接続に繋がる効果が示唆された。
