本研究では,人工歯根に対してレーザ照射を利用した表面改質を行うことにより,材料表面に骨との親和性を持たせ,人工歯根と歯槽骨とを早期に接着させる新たなプロセスの構築を行っている.とくに本報では,人工歯根の素材として広く利用されている純Tiに対して種々の条件でレーザを照射し,得られる形状や化学組成,結晶構造について分析を行った.また得られた表面の生体活性能を評価することにより本手法の有効性について検討した.その結果,レーザの照射条件を変化させることで,さまざまな形状を有する表面を創成可能であることを明らかにした.また,レーザを照射する過程でその表面にOH基を多く含む厚い酸化皮膜を生成可能であることを示し,その現象を利用してレーザ照射面に生体活性能を付与可能になることを明らかにした.